東総地域方言の概要

 

皆様のお蔭で、2000年5月にNHKに取り上げて頂きました。東京に出てきてしまっている僕一人ではなかなかニュー野栄弁が出てきません。皆様の投稿が頼りです。これからもよろしくお願いいたします。

また、野栄町以外の方からの投稿も多く、「野栄弁」というカテゴリで収まりきれなくなっているのが現状です。八匝周辺の言葉をまとめて何弁といえばいいか、考えています。何かいい案がありましたらご連絡ください。


 野栄町を含めた東総地域は、関東地方でも東端に近いところに位置し、関東地方に特徴的にみられる方言も数多く残っている。方向を示す格助詞「に」の代わりに「さ」が使われ、単語に濁点が付くことが多く、撥音便も多い。また、確認や推量、念を押す表現に「ぺ」や「ベ[pe]」が用いられ、「ヒ」と「シ」の混用もある。

例)
・なめーば呼ばれだら、前さ、ででください。(名前を呼ばれたら、前に出てください)
(名前は「なめー」なので、"name"という英単語は覚えやすい。)
・きんのう、ようがじばさいったっぺー。(昨日、八日市場に行っただろ)

 

方言ってあんだや?

  本来、人々の生活は自然の障害によって隔てられることが多い。そのため、人種・民族・言語の境界は河川・海洋・分水嶺などと一致することが多い。極端に言えば、川筋によって用いられる「言語」が違うのである。「言語の分水嶺」の例としては、世界的に見るとピレネー山脈・ヒマラヤ山脈などがある。このことは、方言に関しても程度の差こそあれ、同じことがいえる。国内的には、フォッサマグナで日本の方言は二分できる。
   

   また、新しい「ことば」はその時代の文化中心地地域から、同心円状に広がることが多く(平均で一年間に約1kmの速度であったと考えられている)、山や川など人々の往来の障害となるものにより、ある特定地域にだけ残存し、定着し、歴史に耐えた単語・用法が方言として残ることが多い。こうした場合、同じ事象を指し示す単語が複数存在することがあるが、この場合、単語により用法を分担することになる。たとえば、「ハガジ」という単語がこの地方では「ムカデ」を意味する語として用いられていたと考えられる。のちに「ムカデ」という単語が入ってきたため、「ハガジ」と「ムカデ」では、微妙なニュアンスの差が出てきたと考えられる。同様のことが、「セーバン」と「まな板」に関しても言える。しかしながら、この場合、現在「セーバン」は使われる頻度が極端に低い単語となってしまい、意味の分担はなくなった。「セーバン」は野菜用、「まな板」は魚介類用の”まな板”を指し示していたと考えられる。


    野栄町の方言の中にも古語辞典には用例があるが、国語辞典には載っていない言葉も多い。この地方の方言になかには近世に用いられ始めたものが多くある。また、カ変動詞など活用が通常とは異なることもある。

 

こごいらへんの方言の背景

 

  近世まで銚子は日本全国 (特に近畿地方)との交易の拠点(江戸へ向かう船が遭難して漂着したこともあったらしい。)でもあったことから、近畿地方特有の方言(ホオル:捨てる、オオキニ)が見られ、江戸同様、方言島を形成していた。このため千葉県東部地域は、近代・近世では江戸を中心とした全国的な文化圏と銚子を中心とした局地的な文化圏とが混ざり合う地域であった。
  

   先に河川が「方言の分水嶺」になりうることを述べたが、銚子〜佐原地域では、利根川が「言葉」を運ぶ役割を果たしていたと認めざるを得ない例がある。しかも、川を逆行してである。


 この地方の方言の特徴をよく残しているものに、「足川の口裂け女伝説」がある。足川は現旭市足川。谷中もでできます。
”足川の村にな、与兵衛っつう気のいいシャクショーがいだど、・・・。”
 
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